812連絡会の33年間の活動

812連絡会は、33年間、失われたいのちを生かしたいと、事故調査機関の強化を求める活動をしてきました。誰が悪かったより、どこに問題があったのかを知りたくて、刑事告訴、検察審査会へ不起訴不当の申し立てをしました。前橋地検は事故から5年目、遺族からの要望を受け「不起訴処分決定の理由についての説明会」を開きました。

会社には、事故1年目から毎年、残存機体の保存を求めました。事故後21年目には、やっと遺族たちの願いが叶い、「日航安全啓発センター」が開設されました。現在、この施設は、安全文化を高める大きな役割を持っています。事故後26年目には、運輸安全委員会に働きかけ、事故調査報告書の解説書にも取り組みました。被害者への説明責任を果たすことは事故調査機関の信頼を高めます。そして、この事故調査機関の強化と遺族や負傷者への継続的な支援は車の両輪と考え、被害者を支援する組織が欲しいと長年要望してきました。2009年、「公共交通における事故による被害者等への支援のあり方検討会」が国土交通省に設置され、事務局長が委員となりました。

この検討会では、ニーズ調査が行われ、JAL御巣鷹山事故、信楽高原鉄道事故、中華航空機事故、JR西福知山線脱線事故の被害者たちの生の声が、被害者支援室開設の土台になりました。2012年、国に被害者を支援する「公共交通被害者支援室」が出来ました。全国に配置された国の支援員が、被害者への事故直後の情報提供や、中長期にわたる支援をコーディネイトしますが、812連絡会は、そのアドバイザーをしています。また、自治体や交通事業者を対象として27年度から全国にある運輸局で開催される「公共交通事故被害者等支援フォーラム」の講師として、被害者等への支援の必要性を話しています。

毎年、事故の風化を防ぐために、慰霊登山、灯篭流し、慰霊行事を地元群馬県の皆さんとしています。そこには、他の事故や災害のご遺族たちも参加し、情報の共有をしています。事故から33年、沢山の人達に支えていただきました。被害者支援という認識のない時代に、33年間遺族たちは「会報」や「文集」を発行し、情報を共有し、遺族同士が支え合いながら歩いてきました。今後も、事故の記憶を伝えながら、他の被害者とも連携し、被害者への支援体制の構築をさらに進めます。また、事故から学ぶという前向きな模索こそが命を生かすと考え、事故調査機関の強化などを要望していきます。                                                         

2018.5.9

 

8.12連絡会事務局